住み込み弟子シリーズ設定

項目; 世界地名人物種族用語その他

世界】/地名人物種族用語その他

■世界
 いわゆる「剣と魔法」の世界。とはいえ,魔法はごく一部の人にしか使えないので,基本的には我々の世界の中世とあまりかわらない。火薬は発明されていない。
 舞台になっているのはこの世界で最も大きな「大陸」(→参考:大陸図)。この大陸は東西に長く,南北に狭い。位置的なイメージとしてはユーラシア大陸に相当。世界の形(偏平,球状,etc)は明らかでないが,少なくとも住んでいる人間は「世界の果て」の存在を知覚していない。
 森や遺跡など人間があまり入らないところには「怪物(魔物)」が住んでいるほか,知性を持った種族(異種族)も地域によってはまとまって暮らしている。特に大陸中部にそのような地域が多く,程度の差はあるが人間との雑居も見られる。逆に,特に西部では人間との接触は稀。
■暦
 冬至が一年の節目になっており,冬至の翌日が1月1日。1年は12ヶ月,約365日。

地名】/世界人物種族用語その他

■ビルサ
 大陸の中央に位置するシェダ砂漠の南端にある都市国家。もとは多種族が雑居して交易をする,オアシス都市だった。現在は人口の半数近くを人間が占めるが,残りの半数は様々な種族が占めている。融和無くしては存立し得ない自然環境のため,各種族の関係は良好。ただしこの世界は情報網が貧弱なので,多種族都市であることは市民と近隣都市以外にはほとんど知られていない。
 東西交易路の最重要拠点として発展し,莫大な人・物・金を有する。その経済力を背景に強大な影響力を持ち,周辺都市国家群の盟主として君臨している。通貨「ハダル」は周辺地域を超えた,大陸中部に流通する共通通貨。
 商人による統治が行われており,元首は市長。市長は有力種族が輪番で担当し,選挙により選ばれる。議員は種族ごとに議席が割り当てられている。(→参考:ビルサ市街図
■ダハーシュ
 ビルサの南,アルム・シェダ河の河口に位置する港湾都市国家。天然の良港として古くから栄える。ビルサとは元来密接な関係を持っていたが,その経済力に飲み込まれる形で「盟約都市」として事実上の属国となった。そのため,この街でも(ビルサほどではないにせよ)人間と異種族との共存が見られる。現在は共和制だが,かつての王制のなごりで封建的・保守的な部分も残っている。
 近海には暗礁や珊瑚礁も点在するが,人魚による巧みな誘導がその問題を解決している。
■ルメク
 ビルサの北に位置する小都市。温泉があるため,ビルサからの観光客が多い。本来は神殿を中心とするひっそりとした聖地だったが,ビルサが発展するに伴い観光地化した。200年ほど前に新しい水脈が発見されて以来,温泉地としての発展が飛躍的に進んだ。その一方で風紀の退廃が問題視され始めている。いちおうは神官による合議制宗教国家。
■シファーダ
 大陸のやや東に位置する内陸国。王制。ビルサを中心とする都市国家群とは砂漠と山脈に隔てられているため,政治制度も文化も大きく異なる。王族と封建貴族が政治を独占しており,奴隷制が存在する。なお,一部の亜人以外,ほとんどの異種族は奴隷身分に固定されている。ビルサ勢力圏との通商は盛んだが,奴隷制と異種族の扱いの違いから政治的には疎遠。なお,北部・東部に領土問題を抱えており,紛争が絶えない。この紛争はビルサが裏で手を回しているという噂も。
■シェダ砂漠
 大陸中部に広がる砂漠。一面に砂と砂丘が広がる地域もあれば,石がごろごろと転がる地域もあり,その表情はさまざま。不毛の地であるが,過酷な自然環境に立ち向かうため多種族が寄り添って暮らしており,それによって独自の文化を育んできた。地下河川やオアシスが点在し,それらの中には都市国家へと発展した場所もある。
■アルム・シェダ河
 大陸中部を流れる,数少ない大河。「シェダより流れ出るもの」の意で,その名の通り砂漠の途中から忽然と現れる。ビルサの水源であり,また河口の港湾都市・ダハーシュとの主要な交通手段でもある。
■その他の国
作中に登場しない地域・国・都市については大陸図を参照。

人物】/世界地名種族用語その他

■ラート
 シリーズの主人公。人間,男。大陸西端にあるフォルナ王国の出身。10歳の時に魔導士に弟子入りしたが,後に出奔。ビルサ市のナイアに弟子入りしたときは17歳。
年の割に童顔で,幼く見られることが多い。世間と接する機会が多くない魔導士見習いとしての時間が長く,あまり世間ずれしていないためか,わりとだまされやすい性格。
 若年での結婚が一般的な世界にあって17歳まで童貞であり,しかも筆下ろしの相手が人間ではなかった。現在は魔導士見習い 兼 魔導具店店員 兼 ナイアの恋人。顔に似合わず,セックスの時は攻撃的になることも。自覚しているのかいないのか,かなりの精力の持ち主。
■ナイア
 シリーズのヒロイン。種族はラミアで,上半身は人間の女だが下半身が大蛇。出身・年齢ともに不明。上半身の外見年齢は26〜28歳程度。巨乳,というか爆乳。魔導具店「ナイアのお店」の経営者。「大魔導士」の尊称を持つ著名な魔導士で,魔導を志す者には大陸全土にその名が知られている。が,いかんせん情報網が貧弱な世界ゆえ,彼女がラミアであることも含め,ビルサの外ではその実像は全く知られていない。
 陽気で強気で自分勝手で大雑把,そして好色。弟子 兼 小間使い 兼 恋人のラートにいろいろと理由をつけては毎晩のように情事をせがむ,ある意味で情熱的な女。
下半身の肉体能力は完全に大蛇のそれであり,手加減を忘れると非常に危険。朝に弱い。
■ファイグ
 魔導具素材を専門に扱う商人。人間,男。ラートよりも2歳年下。小規模ながらも隊商を持っていた「シャダイム商会」の跡継ぎだったが,彼が10歳の時に父親が遭難死し,商会は事実上解散した。以後は父親の人脈を頼りつつ,一人で切り盛りしている。威勢がよく行動力もあるが,わりといい加減なところも。美人に弱い。
■イスラ
 ダハーシュで水先案内をしている人魚。上半身は人間の女,下半身はサメ。上半身の外見年齢は24〜26歳程度。港で働く人魚の元締めでもあり,水先案内人として船乗りからの信頼も厚い。姉御肌で面倒見が良く,頼られると嫌とは言えない性格だが無茶な交換条件を出すこともある。豪放で酒好き,時に好色。
■ハールマ
 ダハーシュで売春宿「女神のゆりかご亭」を経営するスキュラ。上半身は人間の女,下半身は蛸のような触手。上半身の外見年齢は28〜30歳程度。普段は経営者に徹しているが,自身も娼婦として特定の客の相手をしている。中でもお気に入りの客・ガルフに対するサービスは半端ではなく,店の娼婦達に噂されている。監査の役人を籠絡することもあるらしい。冷めているかのような言動も取るが,情熱的なところも。
■ガルフ
 本名ガルファム・カーリミ。ダハーシュ行政府書記官。人間,男。年齢は20代後半から30代初めと思われるが不詳。がっしりとした体格,いかにも女好きの風貌とあって役人らしさは皆無。娼婦のハールマがお気に入りであり,彼女のために書類を横流しするなど便宜を図ることもたびたび。セックスと無関係にハールマを訪ねることも多く,客以上恋人未満の関係。
■ガディザ
 シファーダに住んでいた奴隷軍人。牛人。筋骨隆々たる大女であり,脚の付け根からが牛。外見年齢は20代半ば。屈強・勇猛で知られ,王宮警備隊に抜擢された。元将軍の処刑人を演じるなど,奴隷軍人としてはエリートといえる。戦いそのものを楽しむタイプで,退屈な仕事と奴隷身分の窮屈さに不満を感じていた。自分が所有する世話係兼愛人のヤールとともに脱走,国外へ逃亡した。のち,ビルサ衛兵隊戦技教官として迎えられる。粗暴で血の気が多く,好色。
■ヤール
 シファーダに住んでいた奴隷。人間,男。遥か西方の生まれで,幼少期はビルサ周辺で育った。しかし家族で乗っていた商船が海賊に襲われ,奴隷として売り飛ばされた。主人であるガディザの世話係兼愛人であることに喜びを感じている。10代前半だが,大人真っ青の巨根の持ち主。他の貴族に譲られそうになったが,それを我慢できなかったガディザに連れられ,共に国外へ逃亡。のち,ビルサ衛兵隊の軍属として勤務。
■キダシュ
 ビルサ市の町医者で,種族はリザードマン。年齢不明(最低数百歳)。外見は完全に「服を着て二足歩行するオオトカゲ」だが,人情の機微を解する老紳士。
■ラートの元師匠
 ラートが10歳から16歳まで師事していた魔導士。それなりに名のある魔導士だが,男色家の噂がある。ラートを手込めにしようとして逃げられた。
■ドルン・カラドーサ
 ビルサ市の富豪,人間。50歳。妻に先立たれたが,遅くにできた娘・メリーナを溺愛している。
■メリーナ・カラドーサ
 ドルン・カラドーサの一人娘,人間。17歳。美女として名高かった母の血を濃く受け継ぎ,ビルサ市の人間で一番と言われる美女になった。ナイアの思いつきで「丸1日下半身が蛇になる」と言う珍しい経験をしたが,以後は無事である。
 (※適当に名前を付けたら,英語圏にも存在する名前だったらしく大ショック)
■ファキル卿
 ダハーシュの貴族,人間。血気盛んなダハーシュでは珍しい,物腰穏やかな男。ガルフと懇意。
■ジラクーハ将軍
 シファーダの軍人貴族,人間。南方第三軍の元副将。エリート主義者で奴隷や異種族を蔑視している。歴戦の将として知られていたが,汚職・内通などが発覚。自身がもっともさげすんでいた奴隷・異種族・女であるガディザの手で処刑された。
■マスナーハ卿
 シファーダの貴族,人間。武官ではあるが,穏和で開明的な人物として知られる。自慢の奴隷軍人・ガディザに逃げられ意気消沈している模様。

種族】/世界地名人物用語その他

■人間
 旺盛な繁殖力を背景に,この世界で最大の勢力を持つ。一部を除いては他の種族が知性を持つということをあまり理解しておらず,紛争を引き起こしやすい。もちろん同種族内での紛争も多い。このため他の種族には粗暴で好戦的な種族だと思われているが,個体や地域,集団によって性格に幅があるのも特徴である。魔力は全くない者が多い。さまざまな職業に就き,ビルサを初めとする社会の経済に中心的な地位を占める。
■ラミア
 人間の上半身と蛇の下半身を持つ。個体数が少なく,まとまって社会を形成していないらしい。女性型しか確認されておらず,他の種族と子供をなすともいう。種族的に魔力が非常に強い。数が少ない上,自らの種族についてあまり語らないため,実体は謎に包まれている。普通に社会にとけ込んでいるナイアはかなり特異な存在。なお,すべて美女である。
■人魚
 主に熱帯の海に住み,人間の上半身と魚の下半身を持つ。離島や岩礁の周辺に同族で集団を作り,素朴な社会を形成している。それぞれの環境に適した姿・性格をしており,一様ではない。ダハーシュ周辺の岩礁や珊瑚礁に住む一族はサメの下半身であり,特に酒と肉を好む。一般に外洋に住む部族ほど運動能力に長け,大柄で荒々しい。人間と密接な交流を持つ部族もある一方で,他の種族を避ける部族も多い。
■スキュラ
 女性の上半身と蛸のような触手状下半身を持つ。基本的に海辺に住むが,都市生活に馴染んでいる者もいることはいる。その場合も,下半身の形状ゆえ活発な陸上生活に向かず,屋内での接客などに就いていることが多い。海辺の多種族都市ダハーシュでも彼女達の数は多くなく,人間との交流はまだ限定的と言える。
■牛人
 人の半身と牛の半身をもつ。女の場合は多くが上半身が人,男の場合はその逆が多い。地域によっては,男はミノタウロスと呼ばれる。一般に体格が非常に逞しく,また力も強い。そのため,人間と共に暮らす者は多くが戦士になっている。なお,牛人の男は,女に対しても逞しさ・強さを求める傾向がある。
■リザードマン
 トカゲ人間。外見的には二足歩行をするオオトカゲそのもの。他種族の目には外見上の男女の判別が難しい。寿命は長く,中には千年の時を経た古老もいるという。穏和で物静かであり,沈思黙考することを好む。学問や医術などに秀でる。
■コボルト
 人間型だが頭部や体は犬のそれ。全身も毛皮に覆われている。山野で集団を形成し素朴な生活を営んでいることが多いが,ビルサ市では人間に次ぐ人口を占める。都市化したコボルトには商才を発揮する者が多く,ビルサ市には有力な大商人として名を成した者が複数いる。
■ドワーフ
 人間とほぼ同じ姿の種族。小柄でがっしりしており,力が強い。ビルサに限らず多くの地域で人間と雑居しており,人間とほぼ同じ扱いを受けている。職人や戦士が多い。
■その他の種族
 他多数。話の中で他の種族に関して具体的な記述をしたら追加します。

用語】/世界地名人物種族その他

■魔法
 種族・個体に固有の「魔力」,および世界を構成するエネルギーである「精霊力」を背景に,一般の物理法則を超えた現象を起こすことができる技能。ただし,相当の魔力・技能・精神力に加えて修練が必要。伝説上の魔導士は落雷や竜巻といった天候さえも操ったと言われるが,術者の素質・技量に依るところが大きく,効率も悪いため軍事的・攻撃的な手段としては注目されていない。むしろ民生技術・学問として研究されている。また,魔力とは何なのか,魔法とはどのような原理で発現するのかはいまだに明らかでなく,それを追求するのも魔導士の課題の一つ。
■魔導具
 魔導研究に用いられる器具・材料,また,その研究成果として開発された道具などの総称。前者は専門家が研究のために求めるものだが,後者の中には簡単な魔法効果を持たせた道具(時計や照明器具,保冷装置など)も含まれており,富裕層がこれらを買い求めることもある。基本的に専門店(多くは魔導士が収入源として経営している)で売られており,関係業者はそこから仕入れる。全般に高価なので専門店の収入は多いが,店主(=魔導士)も自身の研究に莫大な支出が要るので生活が豪華というわけにはいかない。
■怪物/魔物
 人間が「人間に害をなしかねない」と認識している生き物の総称。単なる猛獣から「異種族」まで幅広い。実際には攻撃的なものは少なく,彼らの生命や生活圏を脅かさない限り襲ってくることはほとんどない。
■異種族
 人間から見て,人間以外の知性・知能をもった種族の総称。多くは独自の文化や社会集団を持つ。ビルサ市など多種族都市に住む人間が使う概念であり,それ以外の地域では一般的ではない(エルフやドワーフをのぞいて,ほとんどすべて「怪物/魔物」扱い)。
■冬至祭/新年祭
 ビルサ最大の祭り。冬至は一年の終わりであり,翌日からが新しい年になる。この二日間は街全体が祭り一色になる。特に年がかわる夜,祭りは最高潮を迎える。1月1日から1週間は祝祭日で,多くの店が休業になる。
■神殿
 多神教圏であるビルサには大小いくつかの神殿があるが,中でもヴァスム,アプトス,ラミーサの各神を祀る大神殿は「三神殿」と呼ばれる。ヴァスムは勝利と戦争,アプトスは知恵と商業,ラミーサは愛と豊穣を司る。当然,商都ビルサではアプトス信仰が盛ん。
■奴隷軍人
 東方諸国に見られる制度で,奴隷身分の一種。貴族または国家に隷属する,戦士・軍人としての専業奴隷。私有財産の所持など,奴隷としては特権が認められている。強い軍人奴隷を所有することは一種のステータスであり,所有者間の売買もある。

その他】/世界地名人物種族用語

■ナイアのお店
 大魔導士ナイアが経営する魔導具店(参考:ナイア宅見取り図)。目印は「投げキスをするラミア」を描いた看板。豊富な品揃えと博識かつ美貌の店主で知られ,ビルサ大学をはじめ多くの顧客を抱える。とはいえ,前述のように魔導研究にも大量の資金が要るため,特別に裕福というわけではない。定休日と午後開店の日がともに週に1日ずつ。
なお,怪しい看板と怪しい店名のため,風俗店と勘違いする不届き者もいるらしい。
■ルメクの泉
 ルメクにある聖地。温水が湧出しており,また水の精霊が宿るとされ神聖視される。が,ルメクの観光地化に伴いその威光はかげりつつある。特権階級と高位の神官・魔導士以外の立ち入りは禁じられている。
■シュマ液
 シュマという多年草から取れる液体。泡立つわけではないが,ある種の洗剤として用いられる。体を洗うときにも使われるが,高級品のため,一般にはほとんど普及していない。一部の高級宿などで見られる。
■秘星石
 魔導鉱石の一種。持つ者の魔力を大幅に増幅させると伝えられるが,詳細は謎に包まれている。存在そのものが伝説に過ぎないという説もある。
■女神のゆりかご亭
 ダハーシュにある宿屋だが,実際は売春宿。三階建ての比較的大きな娼館で,客層は中流階級が多い。経営者はハールマ。
■虹鯛
 魚体の側面が虹色に輝くためこの名がある。熱帯〜亜熱帯の沿岸に生息。岩礁・珊瑚礁のやや深みに多い。食用,美味。ダハーシュ周辺では特に珍重され,唐揚げが名高い。旬は夏。主に一本釣りで漁獲される。
■とげはまぐり
 熱帯の浅海,砂地に生息する二枚貝。殻には多くのとげがある。食用。内臓に毒があり生食は危険だが,加熱することで無毒化できる。食品としてよりも強壮剤として知られる。

【その他の設定】:大陸図ビルサ市街図ナイア宅見取り図

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